イタリア紀行第4章 〜インテルvsメッシーナ〜

定刻どおりミラノマルペンサ空港に到着。ここで、他の3人の戦士を待ち受ける。
まず最初にケルンボン空港から飛んできたN井氏と合流し、熱い握手をかわす。
それから数十分後、デュッセルドルフからの大御所2人が到着。おもしろくないほど順調な滑り出し。ネタが欲しいがまだ時期早尚か?
ここから買い物に繰り出す大御所2名+私の計3名、日本人観光客の女性をゲットすべく街へと繰り出すN井氏の2手に分かれての行動。
我々3名は思い思いに買い物もそつなく済ませホテルにチェックインしたのは、N井氏と待ち合わせした時間ほぼジャストであった。
我々は別行動を取ったN井氏に大きな課題を1つ与えていた。それはこの日の夜の試合前に夕食を取るブリリアントなレストラン探しであった。
「一応」N井氏はその命題を果たそうと、ホテルの従業員にナイスなレストランの場所を確認していたため、N井氏と合流後、私達はそのレストランへと向かった。
しかし、そこで私達が見たものは残念ながらブリリアントはレストランではなく、駅前のカフェであった。この後N井氏が大御所達からどのような制裁を受けたかはあえて述べない事とする。
あまり時間がない私達はドーモ近辺のレストランで軽い夕食を取り、電車でスタジアムへ向かう事に。
ドーモからスタジアムへ向かう電車は途中の駅で2つの方向に分かれるため、注意が必要であった。私達が乗った地下鉄はスタジアムへ向かうものと違う電車であった。
そのため、分岐となる駅で下車し、次の電車を待とうとしたその時、突然その電車の行き先がスタジアム方面の電車に変わった。
別方向に行こうとした客からは当然のクレーム。スタジアムへ向かう人々からは大きな歓声。さすがイタリア。電車の終着点が途中で変わるとは。恐るべし。
そんな小ネタがありながら、地下鉄ロット駅に到着。そこからはギュウギュウ詰めのバスでサンシーロに向かう。
そして、「あの」サンシーロスタジアムが私達の前にそびえ立ったのであった。2年前の悪夢が蘇えってくるのを感じざる終えない。
スタジアムの周りをグルグルと回った後、スタジアムの中へ。この日はインテルvsメッシーナ戦である。
メッシーナのサポータが思いの他たくさん入っているのにまずは驚いた。試合前のアップに出てきたメッシーナの選手達。その中に、いた、あれは柳沢だ!
スタメン組みでアップをしているのを見つけ、別に柳沢を観に来たわけではなかったが、ちょっと嬉しかった。いや、結構嬉しかった。
W杯前の2001年、柳沢はイタリア代表との親善試合でこの日の対戦GKのトルドではないが、もう1人の代表GKブッフォンからゴールを決めている。
イタリアでの相性は良いはず。何かやってくれるだろうという期待が持てる。そしていつもの発炎筒が数多く炊かれる中試合が始まった。
ヘタ、ヘタ過ぎるメッシーナ選手。インテルの激しいプレスに全く自分達のサッカーをさせてもらえないのか、すぐにボールの支配はインテルへ。
そんな試合開始すぐの3分、柳沢のクリアミスを奪ったインテルがさらに攻撃をしかけ、アドリアーノがあっさりとゴール!
その後もフィジカルで圧倒的に勝るインテルは、アドリアーノが14分、36分と立て続けにゴールを決め、3−0。前半で勝負は決まってしまった。
そして後半戦がスタート。開始5分ほどのところで、メッシーナの中盤の選手から前線の柳沢へ絶好のスルーパスが!ブッフォンがたまりかねてペナルティエリア外で柳沢を倒し、一発退場!この日一番の見せ場であった。
1人少なくなったインテルであったが、その後も攻勢は続き、後半11分にはミハイロビッチのFKで追加点。さらに終了近い39分にはビエリがDFを引きずりながらゴールを決め、5−0。
途中メッシーナもPKのチャンスをもらいながら、交代で入ったGKにそれも止められ、ジエンド。インテルの素早い球回しだけが印象に残る試合となった。
それと同時にアドリアーノ、ビエリといったスピードというよりはどちらかと言うと力強い選手が猛威を振るう試合であった。
スピード感あるサッカー好みの私としては、これからのサッカーは昔のように体力にものを言わせるサッカースタイルになってしまうのではないか?といった不安がよぎるゲームであった。
電車でスタジアムへ向かった私達は、もちろん車を荒らされる事もなく、無事ホテル近辺のミラノ中央駅に到着。
軽い食事で済ませていた私達はおいしいイタリアンでも…と思ったところ、すでに時間が夜の11時を過ぎていたため、ほとんどのレストランが終了していた。
1件開いていたのは、中華レストランだった。
「どうしてイタリアまで来て中華を食べなくてはいけないのか?」そんな思いの面々であったが、出てきた料理はおいしかった。
大変複雑な思いを胸にホテルに帰り、翌日のトリノ行きに備えて深い眠りにつく私達であった。

続く