イタリア紀行3〜パルマスタジアムへ〜

悪夢のような一夜が明けた。目が覚めたらそこに荷物があるような気がしていたが、そんなことはやはりない。
各々はシャワーを浴びるなどして疲れた身体を起しにかかる。
一度脱いだほんのりと生暖かい下着をもう一度身に付けるこの感覚を味わうのはいつ以来だろうか?
トイレ(大)にこもったK橋さんの元に携帯が鳴り、一瞬電話に出るのをためらったもののその電話がY沢Jrからのものとわかり、半分ほど出かかったものを止めて電話に出る。
前日子供達へ購入したと連絡したお土産のミランインテルのレプリカ。レプリカゲットの連絡を受けた子供達はもちろん大喜びをしていた。しかし、そのお土産も全てやられた。お土産をほぼ手中にしていたはずの子供達は、盗難の事実を知りながらも涙ながらに、「お父さんの(盗難に遭い大変な)気持ちもわかるけど、もう1度買って欲しい…。」 あぁ、なんと素晴らしい父子愛。
「わかった、考えるよ。」と答えたものの、電話を切った時には、もう一度購入してあげる事を決めていた。
朝食を取りにレストランで集合する。チェックアウトぎりぎりまで就寝していたせいか、中村君の姿はどこにもない。
一夜が経過した事もあり、各自ようやく自分を取り戻しつつあるように思われる。この日の行動スケジュールを確認し、チェックアウトする。これ程身軽なチェックアウトも今まで経験がない。
ロビーで時間をつぶしていると、この日に到着したと思われるうじきつよしに遭遇する。
子供バンド時代のような黄色いヘルメットはかぶっていないものの、すぐに本人であると気づいた。うじき君も私達が気づいたとわかったようで、声をかけて欲しそうな、欲しくなさそうな顔でこちらを見ていた。中村君だけが目当てだった私達は声をかけなかった。
この日は日曜日だと言うのに、ホテルの前にあるスーパーが開いていた。洗面用具、下着類などを購入する。
しかし、この店では白ビキニのブリーフしか置いておらず、中学生以来グンゼパンツをはかなくなった私は後ろ髪を引かれながらも購入を止めた。でも、本当はちょっとはいてみたかった。
買い物を終えた私達はパルマのスタジアムまで徒歩で向かうことに。パルマの市内は小ぢんまりとしていながらも雰囲気のある街で、中田が気に入っていると言うのも良くわかった。
先ほど購入は止めたものの、3日連続で同じ下着を身につける勇気のない私は、市内で購入出来そうな店を探す。
すると、これは私達がパンツを欲しているからではないと思うが、3軒に1軒というのは大げさかも知れないが、5軒に1軒ほどの間隔でセクシー下着の店が並んでいる。
私の中ではいまやパルマは、「セクシー下着の街」と位置付けられた。
そんな中から無事私もなんとか下着を購入する事が出来(注:残念ながら皆様が想像したようなセクシー下着ではない。)、これでようやく安心して今日の試合を観戦する体勢が出来上がった。
スタジアム近くのレストランで昼食を取り、いざスタジアムへ。
スタジアムまでの道中、今回のメンバーの中に前厄の人がいたことが判明する。心のなかで今回のトラブルが、「私のせいかも…」と思っていた私でしたが、これを知って前厄のせいにしたくなった。
海外でも猛威をふるう日本の厄。恐るべし。
そんな話をしながらスタジアムへ到着するとおびただしい数の日本人と遭遇した。

続く。